86歳、やっとひとり ~ 母の「サ高住」ゆるやか一人暮らし ~

「何も起きないのが何より」の母のたよりと、「おひとりさまシニア予備軍」(=私と妹)の付かず離れずの日乗。

#14 ホーム見学ツアー(その4)


【ここまでの展開】

「最期は(故郷)〇〇山の見えるホームで暮らすの💗 」 60代前半から”終の棲家”プランを持っていた母からついに号令が下った。母私妹の3人は、2019GWに「ホーム見学ツアー」を決行する。


訪問3件目の”出逢い”で、私たちはあっさり「仮申込」まで進めてしまった。
「住みたい 💛💛」施設が、予算&ケアサービスの条件ともすべてクリアしてしまったのだから、迷う理由もない。また今回訪問の施設の中で、「現空室」があるのはその施設だけでもあった。
「リュウコばちゃんと隣同士がいいよねー。」オープンから期間が浅く、空室が複数あったことから、母と叔母が”姉妹並んで”暮らせる部屋まで選んで私たちは「仮申込書」に判を押した。


簡単すぎないか!?


まあ、住まい選びはいつもこんな感じで上手くやってきた我が家族なので、特にそうとも思わない。ただ一つ言えるのは、母の状況に「余裕があった」こと。病気やケガでやむ無く施設に入るのでもなければ、そもそも今すぐ移住しようというわけでもない。すべては来年父の七回忌を終えて、2020東京オリンピック・パラリンピックの騒ぎも収まってからボチボチという目算なのだ。嫌になったらキャンセルすればいいし、他にいいところが見つかれば乗り換えるだけ。「仮申込」は母にとっても私と妹にとっても「唾をつけとく」くらいの意味合いで、そのあたりの心持や考え方に3人ズレがないところがありがたい。いずれにしても自身の「選択の余地」があるうちに行動開始してくれた、母の判断力というか思い切りの良さに感謝するばかりだ。


見学4件目。
さて、3件目で手を打ちながら私たちは次の「介護度高め」の系列施設も見学させていただいた。今からアポをキャンセルするのも何なのと、”後学の為”の思いもあった。
仮予約を入れたホームから徒歩圏内にあるその施設は、質素で多少年季も入っておりどちらかと言えば「老人病院」といった印象で先ほどとは大違い。ただ、スタッフさんや入居者さんの関係が何ともいい雰囲気なのだ。立ち話やお喋り、声掛けがあちこちから聞こえ、私たちを案内してくれた所長さんはその度に足を止めて、お年寄りとタメ口で言葉を交わしていた。


ここは施設として10年ほどの実績があり、その間にすでに6人の「看取り」を経験しているという。また先ほど仮申込を決めてきた系列施設とはスタッフの相互乗り入れも多く、あちらの施設の入居者は希望があれば優先的に「施設間での転居」にも応じてくれるそうだ。母にとってこの話は大きな安心材料になった。「動けなくなってもあっちに移れるから安心だわ~」今でもこの言葉を”お守り”のように繰り返している。


「住みたい環境」「安心できる暮らし」こうして2枚のカードが揃った。私たちは母と確認して、明日に予定していた5件目のアポをキャンセルした。