86歳、やっとひとり ~ 母の「サ高住」ゆるやか一人暮らし ~

「何も起きないのが何より」の母のたよりと、「おひとりさまシニア予備軍」(=私と妹)の付かず離れずの日乗。

#15 見学報告会



【ここまでの展開】

「最期は(故郷)〇〇山の見えるホームで暮らすの💛」 60代前半から”終の棲家”プランを宣言してきた母がついに行動に出た。彼女の指揮のもと我々は2019 GWに「ホーム見学ツアー」を決行する。4人目のプロジェクトメンバーである母の妹を欠いたまま。。。


GWのホーム見学ツアーを終え東京に戻ると、私たちは移住プロジェクトのもう一人のメンバー「リュウコばちゃん」を呼んで報告会をすることにした。梅雨入り前の週末、私たちは母と妹の住むマンションに集合。脚の具合が悪いやら何やらでご無沙汰だった彼女がここを訪れるのは一年ぶりに近い。
「おばちゃん元気そうじゃない!クタバッてるかと思って心配しちゃったよー。」「私だってくたばっちゃうかと思ったわよ。」我が家のブラックな歓迎にもとりあえず返してくるので、ちょっと安心した。


体調はイマイチだが、ジム通いも週に数日続けているという。もっとも目的はお風呂(天然温泉!)とジム友とのおしゃべりだが。
さっそくお土産の和菓子をすすめてくれた。「ここのお店もポイントが使えるのよ。」彼女の住む地域では住民の健康支援のために、区役所で配る「万歩計」の歩数によってマイレージのインセンティブがあるという。健康オタクのリュウコばちゃんは、会うたびに万歩計の歩数を私たちに自慢するのがお約束だ。


さて報告会だが、見学ツアーの概要はそこそこに、私たちは決めてきたホームの様子を事細かく&熱を込めてプレゼンした。「そうなのよ、仮申込までしてきちゃった。急ぐこともないんだけど、部屋が埋まっちゃっってからじゃ遅いと思って。」一番テンション高いのは母で、そういうときのクセで「そうそうそうそう!」を繰り返しながら「ウチの💛」施設をアピールする。


「幸いまだ空きがあるから、隣同士で住める部屋がいいんじゃない?」私と妹は各フロアーのレイアウトに〇✖を付けながら、母が仮申込した部屋周辺の空室状況を説明する。生涯独身のリュウコばちゃんは、母と違い「配偶者遺族年金」がない分予算も少ない。母と同タイプの部屋は難しいのでひとまわりコンパクトな部屋がいいという。今なら幸い母の隣にYタイプの空室もあるので、これですべて完璧のはず、なのだが。。。


いつもは母と丁々発止のマシンガントークを展開するリュウコばちゃんが、今日は本当に言葉少ない。文句も言わない代わりに、積極的に話に乗ってこないというか”喰いつきが悪い”のだ。こちらのテンションについて来れないだけなのか、乗り気でないのか・・・?



***



「じゃあ、あとはゆっくり考えてみて。ホームにはウチから連絡入れるから。」なんだかイマイチなノリで報告会は終わった。いつもなら早めの夕飯を一緒にとってから帰るリュウコばちゃんだが、この日は疲れたのかそのまま帰ってしまった。


「まあ、行きたければ連絡してくるでしょ。こっちはこっちで進めましょう。」もはや母には何の心配もない。彼女のペースに合わせてこちらはこちらのペースで移住の準備を進めるだけだ。