86歳、やっとひとり ~ 母の「サ高住」ゆるやか一人暮らし ~

「何も起きないのが何より」の母のたよりと、「おひとりさまシニア予備軍」(=私と妹)の付かず離れずの日乗。

#29 エンタメ


【ここまでの展開】

「最期は(故郷)〇〇山の見えるホームで暮らすの💛 」 60代前半から”終の棲家”プランを温めていた母がついに行動に出た。それから一年足らず。気に入った施設も決まり、引越しを経ていよいよ母の”新生活”が始まった。


高齢者施設の2大サービスは「介護」と「エンタメ」。「#8 ヒアリング」の章で、お母様を施設に入れた先達/マナカちゃんが言っていたように、その2つの柱の「比重」やそれぞれの「手厚さ」がホームの特徴ということになる。


母のホームは「介護&自立両立型」なので、求めれば有料での介護サービスが受けられると同時に、出かけたい人・遊びたい人への「エンタメ系サービス」もそれなりに用意されている。


たとえば
施設内なら、ビデオ体操(毎朝)・体操クラス(週1)・各種お稽古事・各種レクチャー・ミニコンサート・月次お誕生会・食事企画(握り寿司の会、そば打ちの会、お餅つき etc.) 
外出系では、近くのスーパーマーケットへの送迎(週1回)・大型スーパーへの送迎(月2回)・契約スポーツジムへの送迎(週1回)・外食会・遠足(お花見等)


母は毎朝の「ビデオ体操」や、外への「お買い物」機会は外さないものの、それ以外のエンタメにはあまり興味がない。一人で「ミステリー」を読んだり、「数独」するのが好きなので、人と合わせるのが面倒なようだ。それでいてサービス精神旺盛なところがあって、無駄に”座持ち”が良かったりする。「サービス精神旺盛だからこそ、人と居ると疲れる」たぶんそういうことなのだろう。


「コンサートをやるっていうから行ってみたら、知らない外国の曲ばっかりだし、演奏してるの80過ぎのお爺さんばっかりだし、もうツカレっちゃったわよー! 途中で立つわけにもいかないから、ずーっと頭の中でクロスワードの答え考えてた。」


「お寿司屋さん行く会があったから参加したんだけど、お爺さんがひとりで握ってるもんだからすごく待たされちゃって、全然美味しく感じなかったわよ。あなた達と行く回転寿司の方が早くてずっーと美味しい。」


86歳の母にブツクサ言われるお爺さんも可哀想なものだが、電話での笑い話ネタとしては楽しい。また、その場ではそこそこ楽しんだような顔して座を盛り上げて帰って来たであろう母のキャラを思うと猶更だ。


最近、妹がホームの施設長さんに用事で電話をした際、「お母様が、皆さんとあまりにも上手くやっていらっしゃるので、ちょっと心配」と言われたという。サービス精神でフル回転している母の姿が目に浮かぶと同時に、そのような観点を持って入居者を見守ってくださるスタッフの方々の「慧眼」 に感謝する。


母よ、周りに気を使うのもホドホドに。
コロナでの活動自粛をいいことに、部屋でゆっくりミステリーでもお愉しみください。


私は母の好きそうな本をまとめて5冊送り込んだ。「読み過ぎ注意! 夜更かし厳禁!」のメモをしっかり貼って。