86歳、やっとひとり ~ 母の「サ高住」ゆるやか一人暮らし ~

「何も起きないのが何より」の母のたよりと、「おひとりさまシニア予備軍」(=私と妹)の付かず離れずの日乗。

#33 初正月(その2)


【ここまでの展開】

「最後は(故郷)〇〇山の見えるホームで暮らすの💗 」 60代前半から”終の棲家”プランを持っていた母がついに行動に出た。気に入った施設も決まり、引越しを経ていよいよ母の”新生活”が始まった。


母との正月はホームの部屋でテレビを見たり、天気も良いのでニトリに買い物に行ったり、外食に出たりのんびり過ごした。最終日もランチまでは居られるからと母お気に入りのファミレス「ココス」のカレーでも食べに行こうと提案したが、「もう十分だから、どこかで遊んで早めに帰りなさい」と。


初正月だからと、せっかく三泊四日の長めの滞在にしたのに勿体ない。これじゃ内2日しか会えないじゃないの。


理由は前回”引越し”でこちらに来た際、私たちが帰ったあと血圧が上がってしまったことが記憶にあるらしい。子供の遠足と同じで、私たちと一日中付き合うのは楽しい分テンションが上がってペースを崩してしまうようだ。


もう一つには、自分の為だけにはるばる来させるのも悪いから、私達にも適当に遊んで帰って欲しいという母心。これには私と妹もありがたく便乗させてもらうつもりだ。母がこちらに来たのを機に、私たちは毎回ちょっと足を延ばして「N県開拓!」をしようと計画している。


今回はいきなりなので予定も立てていないが、ネットで調べてみるとここからタクシーで30分程の里山に「猪鍋」を食べさせる古民家料理屋があるという。一月三日から営業を始めているそうなので、そこに行ってみることに。この先も、近場の温泉旅館や、ワイナリー、松茸小屋、etc. と「開拓リスト」は尽きない。


「私もここであと三年くらいは生きられそうだわね。」
「ちょっとママ、三年くらいで死なれちゃ困るわよ。」
「私たちがこの辺まわり尽くしてそろそろ飽きたな、ってくらいまで生きててもらわないとねー。」


母を訪ねることは私たちにとってもお楽しみ半分。そんなお気楽な遠距離関係が、これから長く続いてくれることを祈っている。さて次回はどこ足を延ばそうか?私達の小さな”寄り道”報告が、母にとっての「故郷を巡るバーチャル旅行」になってくれたら何よりだ。