86歳、やっとひとり ~ 母の「サ高住」ゆるやか一人暮らし ~

「何も起きないのが何より」の母のたよりと、「おひとりさまシニア予備軍」(=私と妹)の付かず離れずの日乗。

#39 N県開拓!

【ここまでの展開】

「最後は(故郷)〇〇山の見えるホームで暮らすの💗 」 60代前半から”終の棲家”プランを持っていた母がついに行動に出た。気に入った施設も決まり、引越しを経ていよいよ母の”新生活”が始まった。


母のホーム入居を機に、私と妹は周辺と広くはN県全域の”行ったことのない場所”を「開拓!」しようと思い立った。


訪問のついでに毎回「寄り道」や「延泊」をして、”ぶらり旅”を楽しむ算段。これでお愉しみが増えると同時に、母との”共通の話題作り”や「バーチャル旅行」を一緒に楽めたら嬉しい。


今年3月訪問の際は、小諸の温泉旅館「中棚荘」に一泊した。



ちなみにこのブログでは母の施設を特定しないよう、場所も含め”固有名詞”を避けてきたが、「N県開拓!」の旅の話題だけはそれもツマラナイ。必要に応じて一部”具体名”も出してゆくつもりなので、ご参考に。



ここは私と妹がお世話になっている、表参道のオシャレな美容師さんご贔屓の渋~い温泉旅館。近年はワイナリー経営や蕎麦打ちまで手を広げ、今風な”スローライフ型の旅体験”を提供しているようだ。


以前その話を母にした時、何を今さらといった顔で「知ってるわよ」と宿ゆかりの文人、島崎藤村の名を口にした。やはり千曲川を産湯に使った(?)人にとって、藤村や「千曲川旅情の歌」(小諸なる古城のほとり)はルーツなのだなあ、と思った。


想像以上&写真以上に「鄙びた宿」だったのにはちょっと驚いたが、美容師さんが力説していた通り「おもてなし」は素晴らしく、何よりも広々とヌケの良い「お風呂」がすっかり気に入ってしまった。


畳敷きで広めの脱衣場から浴室が間続きになっており、二方に開いた大きな窓が春の日差しを誘い込んでいる。外にはさらに露天風呂が続き、木々の緑が眩しい。




夕食後は、希望者は星空を眺めに、近くで経営するワイナリー附きのカフェまでマイクロバスで送迎してくれた。


「コロナでこのところお客様のキャンセルが続いて、今日は久しぶりの星空ツアーなんですよ~。」女将も久しぶりの客入りに元気を得ているようだった。


いい週末&いいプチ旅行。
危険な時期に東京から移動をしたのは褒められた事ではないが、はやり楽しい時間だった。


東京に帰って母に電話を入れると、さっそく宿の話になった。
「どうだった? お宿から千曲川は見えた?
 ♪ 千曲川~いざよふ波の~岸近き~、宿にのぼりつ濁り~酒~。。。。。。。。♪」
電話口で朗々と唄い出す母にちょっと驚かされた。


「ニゴリ酒? あ、それで夕食に”濁り酒”が出たんだ~!」
「そうよ、気がつかなかったの?」


母との会話に「旅話」が花開いた。


お母様、これからも「N県開拓」楽しませてもらうので、私たちが飽きて行くところが無くなるまで長生きしてくださいな。