86歳、やっとひとり ~ 母の「サ高住」ゆるやか一人暮らし ~

「何も起きないのが何より」の母のたよりと、「おひとりさまシニア予備軍」(=私と妹)の付かず離れずの日乗。

#2 母の号令


「今年のGWに、ホームの見学に行こうと思うの。
手配してくれる?」


「りょうかい~」


母の号令が掛ったのが去年のお正月。


60代の頃から、
老後は故郷の山を眺める老人ホームに入る。
そう言われ続けてきたので、
私も妹もいつでも二つ返事の体だった。


さらに一年ほど前からは、紹介機関 
https://www.roujinhome-zenkokunet.jp/
から資料まで取り寄せているので、
あとはスイッチを押すだけの状態でもあった。




実は最初にアクションを起こしたのは叔母だった。
母の三つ違いの妹の「リュウコばちゃん」。
生涯独身の彼女は、70代後半まで働きながら、
私生活では趣味のダンスや旅行に
ジム通いと友人も多く、
まさに自由な「おひとりさま」の大先輩だ。
いずれは故郷のN県に終の棲家をと
移住計画にも余念なく、
情報集めや資料を取り寄せてくれたのも
彼女だった。


母は自分の信念に加え、
そんな心強い助っ人からの話も手伝って、
ここ数年かけて移住イメージを
具体化させていたのだろう。
「東京2020、オリンピックが始まる前に
早めにパパの七回忌を済ませましょう。
それで私の仕事は終わるから
心置きなくホームに行くわ」
と、移住へのマイルストーンも明確だった。


まさに後はボタンを押すだけ、
兵隊である私と妹に指令を下すだけだった。