86歳、やっとひとり ~ 母の「サ高住」ゆるやか一人暮らし ~

「何も起きないのが何より」の母のたよりと、「おひとりさまシニア予備軍」(=私と妹)の付かず離れずの日乗。

#10 候補選び

【ここまでの展開】

「最期は(故郷)〇〇山の見えるホームで暮らすの💗 」 60代前半から”終の棲家”プランを持っていた母からついに号令が下った。2019GWに「ホーム見学ツアー」を決行すると言う。


わが家の「ホーム見学ツアー」の準備は着々進行していた。


見学施設は5件に絞った。
“血圧高め”くらいしか問題のない元気な母はもちろん「自立」だが、
なんと言っても御年86歳だ。最後までまでちゃんと面倒見てくれるところでなければ、入る意味がない。「自立&介護併存型」の施設を選んだ。


「エンタメ」については、一人で数独したりミステリー小説を読むのが楽しみの母は、
催し物やサークル活動にさほど興味は無いが、ボケ防止の為にも、人との交流はあって欲しい。その辺りは現地で直接チェックしよう。


肝心な「ご予算」だが、「年金で賄えること」が母の出した条件だ。「入所一時金」は”敷金・礼金”程度。月々の支払いが、食費込みで「自身の年金」と父からの「遺族年金」の合計以内。東京近郊では困難なこの条件も、地方都市なら十分可能。地方とは言え、新幹線通勤エリアのこの場所なら私と妹が会いに行くにも至極便利だ。


「〇〇山が見えるホームで暮らすの~」という母の夢は、結果、サステイナブルであると同時に家族にもやさしかった。彼女が20年以上前に描いた”終の棲家”の希望に、
時代と行政が追いついたということか。



さて、この詳細を友人に話したところ「私の老後、そんなお金ないわ~」と悲しい顔になった。確かに、先細りの年金行政では私たち世代の受給予定は母の半分以下だ。我々が終の棲家を考える頃、果たして「年金の範囲内」で賄える高齢者用ホームやサービスは登場しているのだろうか?


いずれにしても、頼りになるのは「健康」と「お金」。
来たるべき将来に向けて、我々も体と家計を鍛えねば。