86歳、やっとひとり ~ 母の「サ高住」ゆるやか一人暮らし ~

「何も起きないのが何より」の母のたよりと、「おひとりさまシニア予備軍」(=私と妹)の付かず離れずの日乗。

#16 体験入居


【ここまでの展開】

「最期は(故郷)〇〇山の見えるホームで暮らすの💗 」 60代前半から”終の棲家”プランを持っていた母がついに行動に出た。私妹母の3人は、母の指揮のもと2019GWに「ホーム見学ツアー」を決行し、いきなり「仮申込」まで進む運命の出会いを果たす。


母の移住プロジェクトが順調に進むのを幸いに、私と妹は夏休みの旅行プランに余念がなかった。おひとりさま女史4人による「世界のF1サーキットを巡る旅」。今年は7か所目、フェラーリのホームコース”イタリアGP at モンツァ”だ。


8月末から11日間日本を離れることを、私たちはまだ母に話していない。別居している私は良いとして、母と一緒に暮らし何くれとなく面倒をみている妹の長期不在はそれなりにインパクトがある。内緒にしてきた訳ではないが、タイミングをみているうちに出発まで3ヵ月が近づきそろそろデッドラインというところで、ホームの仮申込が決まった。これ以上は無い絶好のタイミングだ。


旅行の準備ミーティングの日程を相談しながら、私は妹に尋ねた「ところで、ママに旅行のこと話した?」「話したよ。そうしたらあの人ったらなんと、”ちょうどいいわ、あんた達が行ってる間、私ホームに『体験入居』してくる!”だって。。。その発想はなかったわ~。凄いこと考えるよね。」これには私も驚いた。お母様こちらの考えるところのの”斜め45度”から来ましたよ。あっぱれよりも「参りました」、前向きを通り越して ”コペルニクスかよ!?” と思う出来事だった。もっとも、回っているのは地球じゃない「天動説」の方だが。


ともあれ、彼女がそうやって私たちの不在期間を前向きに過ごそうと思ってくれるのは何よりだ。とりあえず妹からホームに相談を入れることにした。これを機に、失速中の「リュウコばちゃん」もホーム訪問を果たし、移住プロジェクトに復帰してくれたら完璧というものだ。