86歳、やっとひとり ~ 母の「サ高住」ゆるやか一人暮らし ~

「何も起きないのが何より」の母のたよりと、「おひとりさまシニア予備軍」(=私と妹)の付かず離れずの日乗。

#31 装う

*写真はイメージです。


【ここまでの展開】

「最期は(故郷)〇〇山の見えるホームで暮らすの💗 」 60代前半から”終の棲家”プランを持っていた母がついに行動に出た。気に入った施設も決まり、引越しを経ていよいよ母の”新生活”が始まった。


「ホーム見学」からの印象だが、どの施設でも皆さんとても整った身なりで生活されていることに感心させられた。いや、”感心”なんてエラソーな話ではない。休日の我が身をちょっぴり恥じたほどだ。


車イスや歩行器の方であっても様子は変わらない。こざっぱり整えた髪に、体に合ったセーターやパンツ、薄化粧やセンスの良いニットの方もいらっしゃる。この景色を見ただけで、私は母のホーム暮らしに自信を持てたほどだ。


「皆さんちゃんとしてるわよ。ママもきれいにしないとね。」
「昔のでも服ならいっぱいあるから大丈夫よ。」


母は一日一人で家にいても薄化粧を欠かさない、オシャレ言うよりは「きちんと意識高い系」の人なので、家族の身なりにも厳しい。これから一緒に暮らすお仲間や施設スタッフの方々が、身じまいも含めた「キチンとした生活態度」であることは環境としてかなり頼もしい。”ゆるやかな集団生活”、”ゆるやかな一人暮らし”が、「いい感じにソーシャル」「いい感じに気楽」になってくれたら最高だ。
 
卑近なところで、コロナウィルスによる在宅勤務で私の生活も「”疑似”老後の一人暮らし」になっている。 気を付けているのは「規則正しい生活」と「服装」「運動」って、これはホームのスタイルと変わりない。さすがにメイクまではしないが、同じスウェットスタイルでも昼は宅配便に出られるくらいの「こなれ度」に気を付けている。とは言え、今や母の方がキチンとON/OFFしているのは間違いない。


「木曜日スーパー行くのにブルーのコート着てたら、皆にキレイねキレイねって褒められちゃった。」
「 皆さん”黒っぽい服”が多いのよね。そのたびに『主人から”明るい色を”って言われていたもので…』って説明してたら、最近色のある服の人が増えてきたのよ!」
母の派手ではないが「キレイ目」のスタイルが、周りの皆さんから浮くことなく受け入れられているようで嬉しい。


「ここではチョッキが便利で皆さん色々持ってるの、私もまた買わないと💗」
お母様、また新しい服を買いに行こう! 装いは生活のハリ&潤い。いくつになってもキレイでいようとする気持ちを大切にして下さいナ。


と、母に言われたような気がした。