86歳、やっとひとり ~ 母の「サ高住」ゆるやか一人暮らし ~

「何も起きないのが何より」の母のたよりと、「おひとりさまシニア予備軍」(=私と妹)の付かず離れずの日乗。

#6 岩よりも固く


【ここまでの展開】

「最期は(故郷)〇〇山の見えるホームで暮らすの💗 」 60代前半から”終の棲家”プランを持っていた母からついに号令が下った。2019GWに「ホーム見学ツアー」を決行すると言う。


移住プロジェクトが動き出そうという時に母の妹で、老人ホーム行きの相棒「リュウコばちゃん」がスタックしてしまった。これまで、プロジェクトの「先鋒」として動いてきた彼女の失速が母にどう影響するか、正直気になった。


元々、実の妹が行くから自分も一緒にという了見は母には無い。ただ、結婚を機にN県の実家を出た彼女は生まれてから一度も家族と離れて暮らした経験がない。ぐずり始めた相方に気がそがれ「ちょっと様子を見ましょう」くらい言い出したとしても、不思議はない。


ところがそれらしい情報は母と同居している私の妹からも入って来ない。


週末母を訪ねると、事もなげにこう言った。
「向こうは、向こう。そんな事は関係なく、
こっちは自分のことをやるだけだから。」


恐るべし、天然ゲシュタルトな母。
その意思は岩よりも固かった。



「ゲシュタルトの祈り」
(フレデリック・S・パールズ /ドイツの精神科医)


「わたしはわたしの人生を生き、あなたはあなたの人生を生きる。

わたしはあなたの期待にこたえるために生きているのではないし、あなたもわたしの期待にこたえるために生きているのではない。

私は私。あなたはあなた。

もし縁があって、私たちが互いに出会えるならそれは素晴らしいこと。

しかし出会えないのであれば、それもまた善し。」