86歳、やっとひとり ~ 母の「サ高住」ゆるやか一人暮らし ~

「何も起きないのが何より」の母のたよりと、「おひとりさまシニア予備軍」(=私と妹)の付かず離れずの日乗。

#26 新生活応援フェア


【ここまでの展開】

「最期は(故郷)〇〇山の見えるホームで暮らすの💗 」 60代前半から”終の棲家”プランを持っていた母がついに行動に出た。気に入った施設も決まり、引越しを経ていよいよ母の”新生活”が始まる。



2019/11月初、母の新生活が始まった。


「故郷へのIターン」「生まれて初めてのグループホーム」「その実”ゆるやかな一人暮らし”」。どれを取っても新鮮極まりない。


そしてここにもう一人、新生活を始める家族がいる。妹のミウだ。
実は彼女も大学時代2、3年下宿生活をした以外、ずっと実家暮らしの大ベテラン。母の一人暮らしは、彼女にとっても一人暮らしの始まりなのだ。


そんな話を共通の友人T田にしたところ、「よし、ミウちゃんを放し飼いしよう!」
私はこの言葉ににハッとしてしまった。


急に一人になって寂しくないか。母任せだったゴハンはどうするんだろう?たまには遊びに行って料理でも作ってやろうか?
お恥ずかしいことに、私はいい歳をした妹相手に、要らぬお節介を巡らしていたのだ。


「やっとひとり」は、母だけでなく妹の新生活のタイトルでもある。「#3 インフルエンサー」の章に登場のO嬢が50代からの気ままな一人暮らしを謳歌したように、妹もこれからBar開拓でも、朝帰りでも、ふらり一人旅でも、フリーダムが待っている。


T田も私もそうやってこの歳まで楽しんで来たし、これからも元気が続く限り”おひとりさま”の愉しみを探してゆくだろう。私たちは新入りさんをウェルカムしつつ、付かず離れず放って置く。それが大人のマナーというものだ。